ところで、基本情報技術者試験に合格していない人が、応用情報技術者試験を受験することを、基本的に、只木はお勧めしません。 一般に、“基本”というものは、世の中のどの分野でも、とても大事なものです。 情報処理技術者試験の受験においても、基本情報技術者試験に合格するために勉強をすると、応用情報技術者試験の受験勉強では得難いものを得ることが出来ます。 そして、当然、基本情報技術者試験から受けた方が、(見かけ上ちょっと回り道になったとしても)より確実に応用情報技術者試験に合格することが出来ます。 中部大学生で、基本情報技術者試験の合格を飛ばして、応用情報技術者試験に受かった人を只木は知りません。 勉強の世界では一攫千金を狙うものではありません。博打は打つものではありません。
とは言え、卒業までに十分な時間がない場合に限っては、 極めて厳格に『基本情報技術者試験を受験し、その合格を見届けてから、その上で応用情報技術者試験の受験申込みをする。』とする進め方は、 今日、必ずしも良いやり方とは言えないかもしれません。
2023年4月から新制度の基本情報技術者試験がスタートしました。 旧制度のときのように応用情報技術者試験と全く同じ年2回の受験日ではなく、新制度の基本情報技術者試験では、 CBT方式で毎週受験できるようになりました。 一方、応用情報技術者試験はこれまで通り年2回、4月と10月にしか実施されず、大学在学中に受験できる機会は限られます。 そして、この新制度の基本情報技術者試験の下では、 応用情報技術者試験の受験勉強は基本情報技術者試験のそれのほぼ完全な上位互換となったようです。 更に、そもそも、この新制度の基本情報技術者試験では、旧制度に比べ合格率がかなり上昇しており、 中部大学でも、「合格した」という声を学生からよく聞くようになりました。 これらの事実を踏まえると、基本情報技術者試験に未合格であっても、 卒業までに応用情報技術者試験の受験の機会が限られるのなら、 取り敢えず応用情報技術者試験の受験申込みをして、その受験勉強を進め、 基本情報技術者試験は応用情報技術者試験の“模擬試験”として位置付け受験する、という方法もあるかもしれません。 その場合、結果的に応用情報技術者試験には不合格となっても、基本情報技術者試験に合格できれば勉強の成果があったことになります。
いずれにしても、このWebページでは、基本情報技術者試験に合格している(または、確実に合格できる知識とスキルがある)という前提で、 応用情報技術者試験の勉強方法について解説します。 具体的に言えば、情報工学科2年生科目「情報技術者演習A」及び「情報技術者演習B」の教科書である“キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者”の知識は全て持っている、という前提で解説します。 応用情報技術者試験の勉強を始めてみて、基礎的なことが分からなくなっていた場合など、必要なときには、この「キタミ式」を参照して下さい。
なお、下記で参照する書籍(ないしは、その旧版)は、中部大学附属図書館で借りることができます。 未収蔵の新刊については、現在、附属図書館に購入申請中です。 配架されたかどうかは、OPACで検索してみましょう!!
[1] 2025年度版 ニュースペックテキスト 応用情報技術者 (アマゾン)
この本[1]を教科書として一通り読みます。最初から第12章まで、各章末にある「午後対策 重点テーマ解説」も含め、しっかりと読みます。 その際、次の[2]を全般的な参考書として使用します:
[2] 令和07年【春期】【秋期】応用情報技術者 合格教本 (アマゾン)
この本[2]は、参考書として使用するととても役に立ちます。 しかし、試験範囲の各分野について非常に詳しかったり全く素っ気なかったりと、 内容にデコボコと偏りがあるので、一冊を通読するべき教科書としては只木はお勧めしません。 上述のように、この本の中で詳しく記述されている部分を、役立つ内容として参考にします。 ところで、教科書[1]を通読すると言っても、第12章までを読めばよく、 それに続く教科書後半の「令和6年度春期 応用情報技術者試験問題/応用情報技術者試験解答解説」は、必ずしも読まなくて良いです。 過去問対策については、下記の[第二段階]で行います。
教科書[1]を最初から第12章までしっかりと読んで下さい。この時の読み方が深いか浅いかが、午前試験の得点の高低に直結します。
[3] 【改訂4版】要点・用語早わかり 応用情報技術者 ポケット攻略本 (アマゾン)
この“ポケット攻略本”[3]は、[1], [2]を補足する上でとても良いです。 [1]および[2]を読んでもわからないことがあった場合に、[3]を読んで納得することが多いです。
なお、“アルゴリズムとデータ構造”については、補足的に次のように勉強を深めることが出来ます。
次の本[4]は、2022年度まで、情報工学科科目「C言語基礎」および「C言語応用」の教科書でした(この本の紙版が在庫切れとなったため、現在は別の教科書を使用しています)。 これらの科目の授業では、この本の主に「第1部 基礎編 文法」について勉強していました。 この本は、本来、(旧制度の)基本情報技術者試験への合格を目的とするものでしたが、 この本の「第2部 応用編 アルゴリズム」は、 応用情報技術者試験の午後試験で“プログラミング(アルゴリズム)”を選択し受験する場合においても、 問題解答への実力を養成するためにとても役立つ内容になっています。 この「第2部 応用編 アルゴリズム」で与えられている様々なC言語プログラムを、自分で入力し実行してみると、 午後試験に出題される可能性のある様々なアルゴリズムについて、一つ一つ実感が得られ、理解が深まると思います。 なお、本書の紙版は既に在庫切れですが、PDF版が技術評論社の直販サイトから、またアマゾンからKindle版が提供されています。
[4] 改訂3版 基本情報技術者 らくらく突破 C言語 (アマゾン)
応用情報技術者試験では、“外部結合”に関する問題がよく出ます。 しかし、[1]も[2]も外部結合に関する解説は弱い気がします。 外部結合については、次の“専門書”などで、確認しておくと良いでしょう。
[5] SQL 第2版 ゼロからはじめるデータベース操作 (アマゾン): p.239参照
[6] 令和07年【春期】応用情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集 (アマゾン)
[7] 2025 応用情報技術者 総仕上げ問題集 (アマゾン)
残念ながら、応用情報技術者試験では、よい過去問題集が一冊あれば過去問解説はそれで万全、ということにはなりません。 応用情報技術者試験では、過去問解説書ごとに、なぜその問題でその解答が正解となるのかについて、解説内容が異なっている場合が多々あるのです。 そのため、過去問対策では、複数の過去問解説書の解説内容を突き合わせ、自分が一番納得できる解説を採用し、 その解説内容への理解を深め、体得するようにしましょう。
上記二つの過去問題集の一つで過去問対策に取り組んでいで、特定の問題の解説に疑問を感じたら、 もう一方の過去問題集の解説を見てみましょう。 問題によっては、どちらの本の解説も中途半端で、正しい完全な解説が得られない場合もありえます。 とにかく、自分で見て、納得できる方の解説を選びましょう。 (なぜ、過去問解説書の間で、そのような特定の問題解説の“ゆらぎ”があるのか、 それは、応用情報技術者試験のその特定の問題自身の“不適切さ”に、原因があると思います。)
次の過去問解説書は、少し古い本ではありますが、出版当時から遡る過去17期分の試験問題の解説が得られ、 上記[6]とも[7]とも異なる別系統の解説書として、貴重な存在だと思います:
[8] 徹底攻略 応用情報技術者過去問題集 2019年度 (アマゾン)
本書の紙版は在庫切れのようですが、インプレスの直販サイトからPDF版が、アマゾンからKindle版が提供されています。
応用情報技術者試験ドットコム
特に、この“応用情報技術者試験ドットコム”には「応用情報技術者試験過去問道場」があり、午前試験の過去問を“ゲーム感覚で”解くことができます。 答え合わせの際の問題解説も充実しています。 この「過去問道場」で、毎日、毎日、繰返し過去問を解いていれば、何となく午前問題が解けるようになるのではないでしょうか。 もちろん、間違った場合になぜその選択肢が間違いになるのか、正しい選択肢はなぜ正解となるのかについて、毎回、毎回しっかりと理解することが重要になります。 このように「過去問道場」を毎日繰り返していれば午前試験対策となります。 もし仮に「過去問道場」での問題解説が納得できないものであったなら、 上述の過去問解説書[6], [7](そして、[8])の解説を参照してみて下さい。 一般に、応用情報技術者試験を含む情報処理技術者試験では、午前試験で過去問から6割程度が出題されるとのことです (上記「残り2週間で合格の可能性を上げる方法:情報処理技術者試験平成27年秋」参照)。 午前試験問題は、過去問をしっかりと押さえましょう。
もちろん、就職後であっても、「応用情報技術者試験」に合格すれば、企業に様々に評価されます (例えば、上記「情報処理技術者試験の資格手当」参照)。
中部大学では、応用情報技術者試験以上の試験に合格すれば、学長表彰されます:
【公式】中部大学 @ChubuUniv:「学長表彰の会」開催レポート
皆さんの先輩で情報処理安全確保支援士試験(旧・情報セキュリティスペシャリスト試験)に合格され、学長表彰された方もいます。
学長表彰の会への推薦は、毎年11月頃に行われます。
一方、応用情報技術者試験は年2回、4月と10月に実施され、その合格発表は試験の2ヶ月以降になります。
そのため、応用情報技術者試験で合格を決め、卒業までに学長表彰されるためには、4年生の4月の試験までに合格しないといけません。
皆さん、時間がありません!!
大学に入学したら、早めに基本情報技術者試験の合格を決め、それに続く応用情報技術者試験の合格を目指しましょう!!
学部学生で応用情報技術者試験に合格すれば立派です!!
合格したら、まだ学生とは言え、遠慮せず、早速名刺を作りましょう。
肩書に「応用情報技術者」を入れ、事あるごとに人に配りましょう。
(今どき、名刺を作るのに1,000円かからないと思います。)
必ず合格しましょう!!